すべて消えたら 船の上なら、貴方の逃げ場はたくさんありますよ陛下。だって水は貴方の味方でしょう? 俺から早く、逃げてください。じゃないと俺は何をしでかすか、わからないから。 抱きしめた腕、甘く切ない。 貴方の瞳は、黒くまどろむ。 「っ・・・ウェラー卿・・・っ!」 忍び込んだのは、彼の自室。小さくて簡易な窓からは月と星が見える。貴方はよく、俺のこの目を星のようだといいましたね。 月明かりに照らされるのは、彼の発達しきらない身体。少年にさえ、欲情してしまう俺はどうかしているのだろうか? 「・・・っ!!!ぅ・・・」 必死にかみ殺す声さえ愛しい。貴方を壊れるまで愛してみたいけど、貴方は俺の大事なヒトだからそんなわけにも行かない。 お庭番こと、ヨザックに俺がここにいることがばれたら多分首を落とされるに違いない。 そして、今ここでユーリを組み敷いていることも。 「や・・・!ゥェラー・・きょっ・・・!!」 俺の名前を呼ぼうともしない。 それでこそ、俺の愛しいヒト。 好きで、好きで好きでしょうがない。 俺は狂っているんだろう、それでもかまわない貴方が好きだ。 つぷりと硬さを帯びた乳首に舌を絡めてやるとユーリは身をよじる。 いつもここを攻められるとたまらない顔をする、変わらない。まったく変わらないユーリ。 荒い息を上げながらユーリは布団を強く握る。決して昔のように俺の背中に手をまわしたりはしない。 強い方だ、貴方は。俺を愛しているのでしょう? ・・・なんて、うぬぼれてもいいでしょうか。 白くなった指先を手にとって口付ける。冷たいその手は心なしか震えている。 「俺が怖いですか?ユーリ」 たずねるとどうやら図星だったらしく眼を背け強がる。 できるだけ力を抜いて、俺はユーリを抱きしめる。 怖がらせたくなんかないから。 あなたを愛したいだけ。 欲望など簡単に制御できる。だけど、俺は貴方なしじゃ生きられないのです。 「ん・・・!ぁ・・・ぁ・・・」 首筋に散らばした赤い俺の証。 白い肌を鬱血させてまで所有印を押したいのか。 耳を澄ましても聞こえるのはユーリの声と、バクバクと耳を打つ俺の心音、そして静かな波の音。 「ウェラー卿・・・!あんたはサラレギーを守る仕事が・・・っあるだろっ!」 にらみつけられる。 でも、瞳には涙が浮かぶ。 俺との行為は相当嫌らしい。でも、貴方の身体は熱くて溶けてしまいそうですよ、ユーリ。 「彼なら心配ありませんよ。俺が守っていることさえ忘れてぐっすり眠っているでしょう」 自分が仕えるべき人はユーリ以外、どこにもいないのだから。 少し体制をずらしてユーリの足を高くかがげる。存在を主張しかけているユーリ自身を口に含んでやるとユーリの身体がびくりとはねた。 「・・・あ・・・やっや・・・ぁ」 先端にキスをしてから、ゆっくりと舐めあげるとユーリは涙をこぼしながら震える。 今まではいつもそうやって感じている貴方を見つめることができたのに。 もう二度とこんなことはできないんだ。いや、今日だって本当は無理やりユーリを犯しているだけ。 それでも身体が貴方を欲しがって仕方がない。 「ユーリ、好きだよ」 たまらなくなって、口をついて出た言葉。貴方がいつも欲しがっていた愛の言葉。 ユーリは声を詰まらせるとただ泣いた。 そして、そのあとこの耳に響いた言葉を、信じてもいいのですか? 「コ、コンラッド・・・っ・・・好き・・・」 END・・・? シーンとしては、めざマ以降。サラレギーたちとの航海中にて。続きます、神様に告ぐに。 イェルシー デ ユビノマタ!! |