魔王様のお勉強 ―――アナタは美しく気高い魔王陛下なんですから 「へ?ギュンターが?」 部屋に戻る途中、ギーゼラに呼び止められた。なんと、ギュンターが昨日から姿を消してしまってどこにも見つからないというのだ。 もちろん俺も、ギュンターがするはずの教育家係もいまやあの腹黒変態・・・もとい前魔王次男コンラッドが勤めているため会っていないわけで。確かに昨日の夕食もいなかったし、どこかへいってしまったということか。 「陛下のところへいっているかと思ったのですが・・・そうですか、ありがとうございました」 そういうとギーゼラは長い廊下をパタパタと走ってゆく。俺は見つけたら教えるな!とその後姿に叫ぶと俺も部屋へと向かった。 ギュンター一体どうしたんだろ・・・。思い当たることはまったくない。 そういえばおとといのギュンターの様子は非常におかしかったような気がするが・・・。 『明日からは、新しい授業に入りますからね』 という非常に気合を入れた台詞。なんだか耳に残って離れないようなテンションだったような。でもいくらなんでもあのギュンターが“房事”の授業をするわけもなさそうだし・・・。 ま、きっとどこかで鼻血まみれになって倒れてるんだろう・・・ってそれはかなりまずい・・・!!ど、どどどどどどどうしよう!! 「ギーゼラー!!はやく、早くギュンター見つけてね!」 届いたどうかは定かではないがとにかく俺もできる限りの協力はしよう。 ・・・本当は、城中を探して回りたいのだが、そんなことをして迷子にでもなったら余計に迷惑をかけてしまうから今は慣れた人が探してくれるのをまとう。 ギュンター、何やってんだよ〜! 「ユーリ、お勉強の時間です」 ドアをノックするおとが響く。憂鬱なこの時間、昨日の悪夢が蘇る…。 笑顔が素敵なコンラッド閣下は笑いながらドアを開けて入ってきた。何時ものように優しい顔をしているはずなのに、どこかしら恐ろしいのはたぶん俺だけじゃない、はず。 「しっかりと復習はいたしましたか?」 復習、というのはもちろん前回の授業のおさらいということか。もちろん、そんなことしたくもないしするはずもなく俺は黙ったままやってないよとだけ告げる。 正直、もうこの段階からこの部屋から出て行ってしまいたいしようとせうに駆られている。コンラッドが先生というこの変な状況も、そして昼間からどうせそういうことをやらされるかと思うと恥ずかしいのやら腹が立つのやらもう頭がいっぱい。 「コンラッド・・・俺、女の子に手を出す能力なんてないからこんな授業しなくていいよ」 もてない暦=自分の年齢である俺にとってその辺でなんぱした女の子とすんなりベッドへ直行という技なんて持っていないわけで、はらませる心配なんてないから。 むしろ、コンラッドのほうが知らないあいだにできた子供とか多そうなんだけど。 「それでは駄目ですよ、万が一という可能性もありますし」 貴方が逆に襲われることだってあります、とコンラッドは大変まじめな顔でいった。 俺がそんなことあるわけないと言い張ろうとしたが、コンラッドがにっこり笑いながらしゃべりだしたので黙らざるえない。 「前回はお一人での処理の方法をお教えしましたので本日はそのおさらいを」 ・・・おさらい・・・!? おさらいということは、今ここで、その・・・をしなきゃならないということか!? 絶対そんなこと拒否したいけど、コンラッドはにこやかなままじっと俺を見ている。これはここでやらないと授業が終わらないといっているみたい。 「さぁ、どうぞ」 さらに追い討ちをかけるように、せかす言葉。他人の前で一人でするなんて信じられないほど恥ずかしいことなのですが・・・。 それでも、これを授業だという目の前の男は許してくれそうにないし。ああ、もうこれは男を捨てるしかないのか・・・!! 「・・・分かったよ・・・やるよ、やればいいんだろ!」 半ばふてくされたように俺はただ、ズボンから自身を取り出すと扱く。まったく気持ちよくないのだけども、コンラッドがそこにいるから。 どうしようもない気分になってくるのだ。 恥ずかしくて、とにかく死にそうなのに、気持ちいいなんて思いたくないのに・・・。 「っ・・・」 声をかみ殺す。しかし、コンラッドはいいよといってはくれない。イくまで続けなければならないようだ。 涙まで、頬を伝う。もう、いやだ・・・ッ!!! 「お上手です」 涙眼でにらみつけるといわれた言葉。 笑顔で、あんたは俺を見つめたまま。 どうにもできないのに、体は自身の開放を求めるだけ。自分の手がたてているくちゃくちゃというしめった音が耳にこびりついてはなれない。 こんな勉強したくない。とにかく、もう、もたないから・・・ 「っん・・・ぅ・・・」 相変わらずのゆるい刺激。コンラッドはいつもの笑顔に、どす黒さをプラスして横に立っている。救いを求めるように上目遣いで見つめれば微笑まれた。もちろん、返事などなく続けろということ。 とにかくもういやで、いつもどおり外は晴れていて今は昼間だということをいやでも教えてくれる。苦しすぎて何も考えないようにと焦点が定まらないまま俺は手を動かすだけ。 だから、コンラッドがかがんだことも気づかなかった。 「やはり貴方はよい生徒です」 耳元に突如吹き込まれた声。ああもう・・・!どうしようもないのに。 あんたの声なんか聞いたら・・・! 「っあ・・・っ!!!」 俺は手の中に白い液体を放つとくったりとする。 コンラッドは何食わぬ顔でいつものように処理を済ませるといつもの席へと戻る。微笑みながらお上手でしたよと。 「次回からは・・・お相手を選んでいただきます」 「は?いきなり授業で童貞喪失させてくれんの!?」 俺は慌ててコンラッドの台詞に言い返す。しかも眞魔国からあいてってことは、いつも一緒に接してる人だったりするわけ!? そんな恥ずかしいことできるわけないし・・・第一そのときもコンラッドが横にいたりするんでしょう? 「やはり、お相手は女性の方がいいですか?」 突然、寂しそうな顔をしてコンラッドは俺を見るんだ。 断れない、目をしている。 「女の人以外って・・・」 「俺がいるでしょう?」 微笑まれた。 微笑まれました。 「お相手は、俺でいいですか?」 たずねられているのに、どうにも強制にしか聞こえない。確かに、女の人とは気恥ずかしくてできる自信がないけども、コンラッドとじゃあいつもと変わらないし・・・。 それでも、コンラッドはにやにや・・・いやにこにこと笑いながら聞いてくるからもう頷くしかないんだ・・・。 一国の王としてこういう態度はいけないと思うけど、コンラッド相手じゃあ逆らえないんだよ・・・!! 「よかった、それなら明日は・・・ま、いろいろいたしましょう」 いろいろ!? いろいろってなんですかコンラッドさん!! 「ちょっと、コンラッド・・・もうこんな授業俺いいんだけど・・・」 なんだかひどく身の危険を感じていったものの、コンラッドはまったく取り繕ってくれそうにもない。それどころかこんなことをいって笑う。 「だから、授業中は先生と呼んでくださいといっているでしょう?」 そう微笑んでから、明日からは楽しみましょうねとか先生にあるまじき発言をしている。別にわざわざこんな授業をしなくたって、あんたは俺を・・・してるじゃないか!と大声で怒鳴りつけたかったが、万が一外に漏れたら大変だ。 何とか理性で押し切って、コンラッドを殴りつけたりしないようにする。もちろん、けんかして勝てる相手ではないということぐらい分かっているけど。 「じゃあ、また明日」 にこにこと出て行くその姿にぜひとも後ろからけりを加えたくてたまらなかった。 そうだ!明日の授業はこの時間にどこかに隠れていればいいんだ!俺ってなんて頭がいいのだろう!俺はもうとにかくセクハラ教師コンラッドから逃げることだけを考えた。 そういえば、ギュンターどうしているだろう・・・?見つかったかな・・・? とにかく、明日は、森のほうまで逃げよう!! 「まだギュギュギュ閣下はお戻りになられないのか?」 ダカスコスは2日目の上司の不在にそろそろ心配を感じてきた。 中身はとにかく、外見は超絶美形だしもしかしたら人間に売り飛ばされているかもしれない・・・!? 「最後に見たものの話だと、いつものように陛下をこっそりと付回し、日課となっている陛下は自分を愛しているかという花占いをしたあと姿を消されたとか・・・」 では、城内ということだろうか・・・!?では、この城の中に犯人が・・・!? 「犯人はこの中にいる!!じっちゃんの名にかけて!!」 ダカスコスがいくつかの漫画の決め台詞を混ぜた言葉を叫んでいるときある部屋の中からは不気味な声が響いていた。 「しくしくしくしくしくしくしくしくしく・・・」 ある部屋の、ある箪笥の中。 「しくしくしくしく・・・へ・・・ぃ・・・かぁ・・・」 To be continued…? 2000hitsありがとうございます!!本当に感謝しております!! さて、またもや続いてしまいました・・・。ちなみに次回は「めくるめくイメクラワールド」です(死) 次男ファンの方、ほんと申し訳ない・・・。 次は5000ぐらいになったら書こうと思います。末永く、ミラージュムーンをよろしくお願いいたします(笑) またまた、日頃の感謝をこめてフリーにします。どうぞ、さくっとお持ち帰りください(だから、誰もほしくないって) |