口付けは蜜より甘く、罪より苦い

先が見えない、過去も見えない−2

 

 

「あ、あ、あ・・・!」

口をふさいでも、何もかもは前回と変わらず、いやむしろ前回よりもおかしくなっていた。

頭はもう意識がきちんとしているからかもしれない。

男の手の動きをありと感じることが出来てしまうのだ。逃れたくてみを捩っても男の手は自分を追ってくる。涙は昨日あんなにも流したのに、またユーリの頬を流れ落ちてはシーツに吸われている。

「ん、ぅん・・・!」

ぴちゃぴちゃと湿った音を立てているのは、濡れぼそった己の性器。また、コンラッドの手に落ちるのは時間の問題だった。男が固さを帯びたそれを扱くたびにとんでもなく淫猥なおとが室内中に鳴り響いてる錯角に襲われた.

何とか目を開いてみれば、コンラッドが何食わぬ顔で自分に愛撫を施している。

ユーリは、手の甲をかむように必死に押さえつけ口からこぼれる嬌声を食い止めるばかり。

「ユーリ、ずいぶんと感じるじゃないですか・・・」

耳に直接吹き込まれるように囁かれた言葉。一瞬にして頬に赤みが差したように顔が赤くなった。

感じている。

こんな何も知らない男のてで、感じている。

紛れもない真実なのだ。だけど、そんなこと知りたくない。こんなこと、ありえるはずがない。

誰か助けて!!

ユーリは心の中で必死に願った。だけど、頭の中でその誰か、に該当する人なんて思い出せない・・・、それよりも目を閉じているのに、コンラッドが大体どんな顔で自分を見ているかがわかる。

行為の最中、思い出すのも今時分を犯す残虐なこの男の、優しい笑顔。こんなものがなんだっていうんだ、こんなうそ臭い微笑なんて・・・!

「あんたなんか・・・っ大嫌いだ!!!」

こぼれる喘ぎをせきとめ、何とか叫んだ言葉。

心だけは絶対に屈しないという、ユーリの決断、そして自己防衛。

だけど、目に見えたのはコンラッドの一瞬の微笑み。儚そうに見えたその笑み。

しかし、そんなことを考えている場合ではなくなった。

「もとより貴方に好かれようなんて思っていませんよ、そんな感情俺らの間では不要だ・・・」

肩を乱暴につかまれて視界がめぐる。体をひっくり返され、うつ伏せになるような体制、そして腰を高く持ち上げられる。

ひどく屈辱的だった。顔をシーツに押し付けると、シーツが湿っていくのが分かる。

顔はもう触っただけですぐに分かるぐらい熱い。

「ひぁっ!」

男が、まだ固く閉ざされた蕾に舌を這わせたのだ。ユーリはおどろいて、シーツを強く握るだけ。体が跳ねてしまうのはどうやっても自分では止められないのに、必死に止めようとしている。

完全に形を変えたユーリ自身からはパタパタと透明な先走りがしずくを作り、たれている。だが、コンラッドは熱い舌で入り口を嬲るようにしてこじ開けようとしてくる。

気持ち悪い。

という気持ちだけではなかった。

ユーリはひどく甘ったるい声を上げてその愛撫に屈するしかなくて。全身がざわめくような、さらに億をもっと太いもので突かれる衝動をほしがっている様で。

「っ・・・はぁ・・・ん」

もう、自分の体が自分のものである感覚など当にうせていた。

まるで、淫らな自分をただ冷静に観察している冷酷な自分がいるようなそんな感覚。突如頭に自分が今どんなに惨めで、男としての威厳などそういうものも投げ捨てているのかが分かった。たとえ誰かに強制されているとはいえ、やはり感じる恥辱は異常なほどで。

「ぅ・・・あ、ああ・・・」

もう、たまった熱を開放したくてならなかった。

だけど、蕾を舐められているだけでは、いけそうにない。強い衝撃がないといけない。

だけどコンラッドはそれをまだ施してくれるつもりはなさそうで。

「ユーリ、気持ちがいいのでしょう?ほら、いきたくてしょうがないんじゃないですか?」

長い指で自身を愛撫される。体が待ち望んだ感覚にふるりと震えた。だけど、男はそれっきりもう自身には手を振れず指を蕾に突き立てては入り口をゆるゆると擦るだけ。

ユーリは髪を振り乱してじれる頭の暴走を止めようとした。もう、この手で達せられたという恥ずかしさは味わいたくないのだ。それがいくら気持ちがよくても。絶対に自分は男に屈しないと決めたのに。

「つらそうですね、どうしてほしいですか・・・?貴方の言うようにしてあげる・・・」

一日も間を空けずに交わす行為。

窓からは朝の日差し。自分がとんでもないことをしているということなどよく分かる。自分は何も来ていなくて、でも男は服の襟元を少し緩めただけで余裕の笑みをして。

ぐちゅぐちゅと本来受け入れるべきではない部分からはくぐもった音が響く。だけど、男は狙ったように自分がほしい感覚をすべてはずしたきた。多分この男は、自分よりもこの体に詳しいのではないかと思いほどに。

「・・・ん・・・っ・・・」

涙を閉じてこらえても、体は貪欲に更なる快感を求めている。

だけど、すべてをプライドと意地がとめている。

コンラッドがせかすようにいかせて欲しいんだろう?と耳元に吹き込んでくる。その吐息の熱さにも自分は反応してしまうほどだった。

「いやだ・・・も、やだ・・・」

シーツに額をつけたまま、いえるのはそんなされごとでしかない。

コンラッドは、もう一度いう、いきたいでしょう?と。

「いきたい、と一言言えば貴方は楽になる・・・」

まるでその言葉は甘美な命令のよう。正直な体は、蚊の鳴くように声でただ、言った。

「い、いかせてほしっ・・・!!」

もうユーリは何がなんだかさえも分からないほどだった。痙攣する体を押さえられず、嗚咽だけは止まらず零れ落ちる。顔はぐしゃぐしゃ。

「ユーリ・・・」

声と共に押しはいってきたのは男の脈打つ自身。ねじ込まれるような感覚にユーリは目を見開いて金切り声のような悲鳴と嬌声を上げた。

「あ、あ、あ、っあぁ!!!!」

そのまま、ユーリ自身は果てる。だけど、男は満足せずに腰を進めてくる。いったばかりでけだるいからだの、最奥をつかれればまた荒い声がでてしまう。

ベッドは昨日以上の音を立ててきしむ。痛みはもうどこから消えている。いや、男にずいぶんとじらされたせいで挿入と共に感じる痛みはあまりなかった。

後ろから温かいものにくるまれる。そう、シャツのの上からでも分かる、コンラッドの体温。耳にかかるのは荒くて甘いといき。

「俺だけを見て・・・俺意外誰とも話さないで、絶対に」

耳に打ち込まれるコンラッドの声。ユーリはわけもわからず何度も頷いた。

絶対にここから逃げないで、またコンラッドの声がする。ユーリは自分を客観視するかのように冷静な部分の脳で考える。

もう、自分はコンラッドからは逃げられないんだと。コンラッドの言葉に彼に逆らうともっとひどい目に合いそうな気がしたからだ。むごく体を暴かれるんだ、もしくは何も知識がないままここから捨てられるんだ・・・。

しかし、ユーリの思考はもう考えることすらやめようとしている。男の腰を撃つ荒々しい動きにもうユーリも限界に近かったから。

「っんっあ・・・っふ」

また、ユーリ自身をたたせて、男の愛撫によがる。

もう、今のユーリに大きな意識などなかった。男が耳元で何かを囁いたような気がしたが、聞き取るだけの理性などこの脳にはない。

もう、落ちるしか、ユーリにはのこされていなかった。

 

 

END…?

 

 

一応、視点がユーリとコンラッドと交互になっております。だから、片方では謎なことは片方では開かされていたりとかします。ユーリの回だけ読むとひどくおかしな次男にいじめられる物語になり、次男のほうだけ読むと鬼畜の片思い苦悩物語となりますよ()