神様に告ぐ 目を開けるとそこにいたのは多分この世で一番好きな人。 寂しげな目で何を考えているの? この俺に何を求めているの? 「・・・あ・・・やっや・・・ぁ」 自身を舐められて俺はそんな声しか出せなかった。狭い室内で響くのはぴちゃぴちゃというくぐもった音と、ウェラー卿の微かな息と波の音。 今までは何の疑いもなく、ウェラー卿と肌を重ね、愛を誓うことができた。それなのに、今は泣き声と身体が勝手につむぎだす喘ぎを抑えることだけに集中している。 いや、ほかに何も考えたくなかったから。 だって、今ここで彼を敵だと再認識したらこの手を振りほどかなくてはならない。 どうにかして、ウェラー卿を遠ざけなければならない。 ・・・そんなこと、いやだ。ずっとずっと、こうやって再び彼に抱きしめられることを望んでいたから、ほんの少しでも希望があるならそれにすがりたいから。 あんたが俺のこと嫌いでも・・・俺はあんたが・・・ そんなとき、ウェラー卿は呟いた。俺が最もほしがっている言葉を。 「ユーリ、好きだよ」 信じていいの・・・? 顔を起こしウェラー卿の顔を見ると優しい顔をしていて。 そうそれは、いつもの彼。 俺は、何も言い返せなくてただただないた。なくしか今の俺にはできなくて、情けない。 時間をかけてやっと口から出た声は悲しいぐらいかすれている。 「コ、コンラッド・・・っ・・・好き・・・」 そう呟くと、いきなりコンラッドは体勢を変えいきなり強く俺を抱きしめてきた。 これは夢? そう思うほどに幸せで温かい腕の中。あの日差し伸べた腕をとってもらえなかったときから俺には二度と戻らない幸せのはず。 でも、確かにウェラー卿はここにいて俺を抱いてくれている・・・ 「ユーリ・・・ユーリ・・・!」 コンラッドが俺を呼ぶ声もかすれていた。 俺を求めてくれているのかな・・・?なんて思ったりしてしまう。 うぬぼれでもいい。今はコンラッドと一緒にいる、それだけでいいんだ。 「・・・んぁっ・・・ふ・・・」 俺は口をついて出てくる嬌声をどうにかして止めたかった。もし、ヨザックやほかの船の乗組員に知れたらどうなるか分からないからだ。 それでも、長い間受けることもなかった懐かしく優しいコンラッドの手つきに声は止まらない。 うれしいのに、こんなに頭にいろんなことが残ったまま。 それでも、コンラッドはいつもの余裕なんか見せないような手つきで俺の自身を昂らせている。 「・・・ぁ・・・っ!」 「ユーリ、声を殺さないでください・・・。俺に、貴方の声を聞かせて」 甘い甘い低い響で直接耳に注ぎ込まれる声。俺はそんな声にも反応してしまって身体を震わせる。 そんなことをいわれてしまって、俺はもう声を抑えることなんてできなかった。 「あ・・・!コンラッ・・・ドォ・・・!」 すでに限界に近かった俺は、コンラッドの服にしがみついたまま果てる。白くて熱い白濁が飛び散ったのを見て俺はほほを染めることしかできない。 恥ずかしくて顔を見られないでいるとコンラッドがクスリと笑うのが聞こえる。 いつまでも慣れないんですね、と。 あぁ、変わらない笑み。 待ち焦がれたいとしいあんたの腕。 そろり、と俺の中にもぐりこまされたきずだらけのコンラッドの指。すでに俺が放ったものでぬるぬるしていたから意図も簡単に進入を許してしまう。 「っあ・・・!」 あの日コンラッドと離れてから一度も誰とも及ばなかった行為。 戻らないと知ったうえでも、たとえ身体が疼いたとしても俺は絶対コンラッド以外のヒトと身体をつなぐことだけはしたくなかったから。 拭えない異物感と、やはり間を空けたことによってなかなか指を奥には導けない俺。 でも、コンラッドは精一杯優しくしてくれた。ゆっくりと時間をかけて解かれてゆく後ろ。ほほを伝う涙はさっき流していたものとは違う、コンラッドがここにいてくれるだけでうれしくて。 敵だ味方だなんて今の俺にとってはどうでもいい。 一国の王として責任がなさ過ぎるとしても、愛する人に抱かれながら殺されたってかまわない。 「っ・・・ぅ・・・」 さっき一度吐き出したくせに俺はずいぶん元気がよくて自分でも張り詰めているのが分かる。恥ずかしいと思ったけど、そんなことを考えている間に腰を掬い取られてしまう。 「ふえ・・・っ?」 気がつくと、コンラッドの熱く猛ったものがあてがわれていた。 「ん・・・ぁ・・・」 「ユーリ、大丈夫ですか・・・?きつくないですか・・・?」 尋ねられて俺は精一杯顔を横に振る。 本当結構痛かったし、息苦しかった。 でも、それよりも俺はうれしさで胸がいっぱいだったんだ。 それでも、コンラッドの目は欺けなかったらしく俺の頬になだめるようなキスを落としてくれる。 敵わない。 かっこよくて強い人。 優しい顔を少しだけ歪ませて快感にこらえている。 この人にこんな顔させてんのって、今ここにいるこの俺なんだよな。そう思うと無性に幸せを感じてしまう。 「ぁ!・・・っ・・・んっ」 遠慮深げに動かされた腰。久々の俺を気遣ってくれているのだろう。俺はコンラッドの首に手を回すと抱きしめる。 熱い塊に身体の中をかき乱されて。 この優しくて残酷な男に心の中をかき乱されて。 そこから先は、記憶が曖昧。 だけど、覚えておけることはこの目に、胸に、身体に刻み込んだ。 翌朝目覚めると、コンラッドの姿は当たり前だが消えていた。 衣服はきちんと正され、お互いの白濁液にまみれた俺の身体は丁寧に拭われている。 夢かと思うほどに昨晩の出来事は俺にとって信じられなくて、でも重要で。 コンラッドは、いつかきっと帰ってくる。 今はそれだけを信じるしかないのだから。 カミサマ。もしも、あんたが俺に試練を与えたいだけなら勝手にしてくれ。 だけど、俺は何があっても彼が好きなんだ。 自分でも、おかしいと分かるぐらい。 いつかはもっと笑いあいたいな・・・ END エロシーンのみ・・・。「すべて消えたら」の続き。めざマ以降のゆーちゃんのコンラッドへの思いがすき。切ないラブが好き。 |