ロストパラダイス ひどく憂鬱で、昔のような感覚に陥る。すべてなくしたと思っていたあのときの・・・。 デスクワークは慣れているつもりだったが、俺はどちらかというと身体を動かすことのほうが向いているらしい。 さっきから、ペンは止まったままで頭に思い浮かぶのはいとしいあの人のことばかり。 まったく、自分でも何をしているのかは分からない。 この状況はいろいろなものを守るためだとしても、ユーリにあんな顔をさせるためではなかった。それでも、自分には選択の余地などなかったし、誤解を招くようなことをしてもユーリのためだと割り切って冷たくすることもできた。 いまさらこんなに後悔するなんて。 情けない。 『コンラッドー!』 まぶしい笑顔に心を奪われたのはいつからだろう。 目を閉じれば現魔王陛下のおかげで平和で優しい眞魔国の景色。いつもいつも彼の隣でその景色を眺めていた。 いつだってお傍に。 そういったのは自分じゃないか。 窓の外を見てみるとどんよりとした空が広がっている。 ・・・眞魔国に帰りたい。 いまさらながらそんなことが頭をよぎる。今となっては俺はただの裏切り者で国を追われる立場なのに。 すべてすんだら笑ってユーリは俺を迎えてくれるだろうか? 無理だ。 自惚れかもしれないが陛下は俺を頼ってくれていたから。裏切りの罪は大きい。 貴方の笑顔だけが俺の幸せなんです。 そのためなら、自分が何になりはてようがかなわない。 こんな思いをするの俺だけで十分なのだから。 ユーリ、今貴方は何をしていますか。地球にいて、きっとあの優しい家族に囲ませて過ごしているのでしょう。 もっと違った場所で会えたなら、何か変わっただろうか・・・。 今までは手を伸ばせば貴方はいた。 だけど、今の俺にはその手を伸ばす資格さえないのだから。 貴方の隣は天国でした。 END 短い。シマロンで軍の指揮官とかしてるときのこと。彼はぜひどこに行ってもモテモテでいてほしい。(いや、きっとモテモテなんだろうけどさ) |