キャンドルの灯―
3 「可愛い・・・ユーリ」 呟かれた言葉にユーリは可愛い言うな!と悪態をつこうしてたがコンラッドがそろりとそのまだ閉ざされた蕾をなでたのでびくりとして声を詰まらせることしかできない。 「な・・・に・・・?」 あわてて声をかけるがコンラッドはすみませんと耳元で謝ったきり何も話してはくれない。 先ほどはなった密でぬめった指先は遠慮深げにユーリの秘所を暴こうとする。 しかし、本来受け入れるべき気かなではないそこはコンラッドの指すら拒絶した。 「ちょっ・・・や・・やだぁ・・」 言い知れぬ不安に駆られユーリはおびえたような声。 それでも、コンラッドがしようとしていることの検討はつくからどうにか身体をコンラッドに預けようとする。 突き立てられた指にユーリは軽い悲鳴をあげた。 「ひゃぁっ!」 それでもコンラッドの指は徐々に中に押し込められてゆく。抜いてしまいたい衝動と、異物感は拭えない。 それでも、大好きなヒトと体をつなぐのは、多分幸せなことなのだろう。 まだ第一関節とちょっとほどしか飲み込めないので、コンラッドはひとまず指を抜く。ユーリはずろりとした感覚に眉をひそめる。そのまま、コンラッドはユーリの足を担ぎ上げ腰を少しだけ浮かせるとそこに唇を寄せた。 「うわっ!ちょっと・・・!っ・・・コンラ・・・ド、汚いって!!」 ユーリの悲鳴にコンラッドは貴方に汚いところはないよ、と呟く。熱い息が敏感な足の付け根にかかり初めての後ろをいじられる感覚に萎えかけていたユーリ自身がピクリと震える。 たっぷりと唾液を絡ませて舌で舐められてびくびくと身体を震わせることしかできない。舌でこじ開けるように舐められて乾いたはずの涙がこぼれる。 ぴちゃぴちゃというくぐもった音が部屋中に響くようなそんな感じさえしてしまう。とにかく恥かしくて、どうにもできなくて豪華な天蓋を見ているばかり。 もう一度指が入ってきた。ユーリはシーツをつかんだままつめの先を白くする。恐怖に足を突っ張ったままにしているとコンラッドが優しく力を抜いてくださいと呟いた。 「ぅ・・・ん・・・はっ」 だいぶ慣れてきたか何とか指を一本の見込めるようになったかと思うともう一本増やされる。ぐちゅぐちゅと中をかき回されてなんだか痛みとか異物感というものじゃないものを感じているような気がしてくる。 そんな時、コンラッドの指が擦った場所で目も眩むような感覚が生まれた。 「っ!!」 声にもできないようだったのに、コンラッドはここがいいんですか?と何度もそこをせめてくる。おかげでしっかり前は形を変えている。 「ゃぁ・・・な・・・・あぁ・・・・」 目を閉じていることしかできなくて、ユーリはびくびくと身体をはねる。 その間にも指は増やされていて、そしてまたそろそろコンラッドも限界に近かった。愛する人の痴態をこんなまじかで見続けたので、無理もない。 コンラッドは快感でぐしゃぐしゃになっているユーリに本当にすみませんと一言わびるとたけった自分をユーリに押し当てる。 指とはぜんぜん違う質量と熱のものにユーリは息を詰まらせて目を開く。 ゆっくりと時間をかけて入り込んでいるコンラッドに初めてのユーリは痛みしか感じることはできない。 「ひっ・・・ぁっ・・・痛い!・・・っ」 悲鳴をあげながらユーリは腰を逃がそうとするがコンラッドはそれを許さないようやくすべてが収まりきったとき、ユーリは痛みに永遠を感じそうなほどだった。 コンラッドはユーリを気遣いまだ腰を動かさない。とにかくうれしい気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいで、何度もユーリの名前を呼ぶ。 「コンラッド・・・っ・・・」 落ち着かせるためにユーリに優しいキスをして、身体を強く抱きしめる。ユーリは苦しいはずなのにそんなコンラッドの行動が嬉しくて何度も途切れ途切れにコンラッドの名を呼んだ。 少したつとだいぶ慣れてきて、まだじんじんとした痛みは響くけど、かすかに脈打つコンラッド自身を強く感じられた。 「ユーリ・・・いい、ですか・・・?」 たずねられて、ユーリは小さく頷く。もう、どうされてもいいとさえ思う。 コンラッドは、ユーリの了解を見てから、初めてのユーリを気遣ってゆっくりと腰を揺らした。 痛みばかりなのに、どうしてこんなに嬉しいのか・・・ユーリはただシーツを握る。その手にコンラッドの熱い手が添えられてシーツの代わりにそれを握った。 「あっ・・・!」 コンラッドが探り当てたのはユーリが一番感じる場所。痛いと痛いと思っていたユーリは突然の刺激に高い嬌声を上げるばかり。もう何がなんだか分からないまま必死に絡められたコンラッドの指に力を入れるだけ。自由な片手はもがくだけだったけどコンラッドが自分の背まで導いたため今は強くつめを立てている。 「ユーリ・・・っ!」 耳元で呼ばれる声。ここにコンラッドがいて、自分と抱き合ってて。そう実感するだけで幸せな気分だった。 「コンラッドォ・・・!コン・・・ッラ・・・あぁっ!」 何度も名前を呼び合う。 余計な言葉なんて必要なかった。 ただ二人でいられればそれで良い。 「っ・・・あれ?俺・・・」 目を開けると見慣れた自分の部屋のベッドの上。ただし、隣にははだけたシャツと裸の胸。 頭に当たるごつごつしたものは彼の腕で、目を閉じているコンラッドがそこにいた。隣から響く規則正しい寝息の音。どうやらコンラッドは寝ているようだった。 彼を起こさないように窓のほうを見るとまだ真っ暗で完全な夜ということが分かる。 俺、ついにコンラッドと・・・ユーリは昨晩のことを思い出して顔を赤くする。彼と身体をつなぎながら最後ユーリは気を失ったのだった。そのまま今に至るというわけで、なんだか気恥ずかしくてどうしようもない。 しかし、あまり見たことのないコンラッドの寝顔を眺めているのは悪い気分がしないのでクスリと笑いながら見つめる。 「まつげ長いなぁ」 呟いてみる、どうせおきていないのだし。 と、そのとき、コンラッドの目がパッチリ開いた。 「うわっ!おきてたの・・・?」 驚いてたずねると寝ていましたよ?とコンラッドの声。コンラッドはにっこりと笑う。 「軍人として訓練してたもので・・・かすかな音でも目が覚めるんですよ」 ユーリはその声にあわててごめんなっ!とあやまる。 「いえいえ、貴方に話したいこともありましたし・・・貴方の隣にいると安心してつい眠ってしまうから」 ユーリは話したいこと?と首を傾げてから、コンラッドの言葉が嬉しくてちょっと微笑んでみたり。 おどけてコンラッドに頬を寄せてみると裸の背中に温かくて大きな手のひら。それだけで安心してユーリは笑う。 コンラッドはそんなユーリの額に口付けをすると、小さく、でもはっきりと話し始めた。 「好きなんですユーリ・・・いつまでも一緒にいてもいいですか?」 遠慮深げな台詞と、にこやかな笑顔。ユーリは恥かしくて照れくさくてうれしくて。 かすかな布ずれの音以外は何の音もしないこの部屋。深夜の静けさの中でつむがれる愛の言葉。ユーリは黙ったまま、頷いた。 そっと頬に置かれたのは今までユーリを抱きしめていた手。やんわりと上を向かされるとそのまま交わすキス。 永遠のように長く、夢のように短いひと時。 それでも愛するヒトと共にいられるなら。 ちゅっと音を立てて唇かせはなれるとコンラッドは言った。 「貴方の世界では、プロポーズ、っていうやつですね」 共にいたい、愛し続けよう。 クスリと笑うコンラッドにユーリは小さく何言ってんだよ、と言い返す。だけど口元は笑っていて、とてもとても幸せで。 指輪はないけど正式なプロポーズ。結婚はできないけど、気持ちはいつも共に。 「婚約指輪を持ち合わせていないので・・・この、貴方にさしあげたこの魔石に愛を誓います」 そういってコンラッドはそっとユーリが首にかけている魔石を持ち上げる。濃いライオンズブルーをした魔石はほのかに暖かい、人肌のぬくもり。 ユーリは上気した頬でありがとうと呟く。 そろそろと手を伸ばして意を決して自分からコンラッドにキスをしてみる。自分は何にも不慣れで、うまくできないけどもあんたを愛していると。 「あ、俺も・・・何か渡すべきかな・・・?」 ユーリがたずねるとコンラッドは笑っていいですよ、何もといった。 プロポーズされた側は別に何も用意することはないのだが。ユーリは少し気が動転していたのでそんなことを言ってしまう。 「でも・・・なんか俺も証明しないと・・・」 ユーリのそんな言葉が嬉しくてコンラッドはユーリを強く抱きしめる。 貴方がいるだけで、俺はいいですと耳元で囁く。ユーリはずるい、といいながらコンラッドの首に腕を伸ばす。 「それに、もうもらっていますよ」 コンラッドの言葉にユーリは何かあげたかなといろいろ考えてみたけども、思い当たるものはなし。だってこっちには予期せぬままきてしまうから、そして大概服を着ていない場合が多いから何ももっているわけがないのだ。 「俺、何あげたっけ・・・?」 ユーリの問いにコンラッドは微笑んだまま秘密です、と。 なんだよーというユーリを抱きしめなおすとそろそろ夜が明けてしまいます、とごまかして。 確かに外からはかすかな鳥のさえずりが響いているので朝は近い。 「誤魔化すなよー!」 しばらくは悪態をついていたが、コンラッドにさぁ寝ましょうといわれしぶしぶ目を閉じる。だが、たまった疲労は濃く、すぐに眠り後に落ちてしまう。 コンラッドは寝息を立てるユーリを抱きしめながらユーリからもらった、アヒルの人形のことを思い出す。 幼いユーリはとても可愛かった。もちろん、今もとっても可愛いけども。 眞魔王の意思がどうであろうとコンラッドはユーリを裏切らないと心に誓う。何があろうと、ユーリがどう思おうと。 抱きしめた暖かい、小さな身体。この身に降りかかる運命がつらくても今はひと時の安息を。 そろそろうっすらと空が白くなってきた。 コンラッドも、ユーリの傍らで目を閉じる。 「愛してるよ、ユーリ」 そのまま、珍しく深い深い眠りに落ちる。 貴方の傍らはどうしてそんなに暖かいんだろうね、ユーリ。 END 次回予告 「もうどうしようもないんだ、頭が痛い」 「じゃあ君はどうしたいの?別れたいの、それとも・・・」 「忘れてしまいたいぐらい、嫌いになれない」 「思いでかき消すくらい・・・大きな声で歌えばいいんだよ」 ―――――踊り狂うよ貴方と共に
Episode.2『消えないメロディー』 自分なんだ、次回予告って・・・orzつーか、曲ネタ万歳(´∀`)∩ワショーイ エロだけで、こんなに長く書いたの初めてだ・・・!とりあえず、めでたく夫婦に(違) |