01
: 穏やかに眠る貴方の夢で、微笑むのが私なら良い。 深夜の寝具の中。窓の外は、夜の闇。 貴方は微笑みながら俺の腕の中で眠る。 抱き寄せたユーリの身体は、温かくて甘い香りがする。俺はそっと額にかかった漆黒の髪を書き上げると小さく口付けを落とす。 「愛してる」 囁いてみても相手は夢の中、届くはずがない。それでも今はかまわない、貴方は俺の隣にいるのだから。 ユーリの寝顔はとてもとても穏やかで、すべてを安心した顔だった。 ああ、俺と共に眠ることに不安を感じていないのだ。 それを実感しただけでうれしくて、つい微笑んでしまう。 外からは、小さく虫の声と風の音が聞こえる。それすらもあたりに響き渡る静寂を強調するようで深夜独特の空間を作り出す。 この時間にまどろむのが好きだった。とくに、最愛の人をこの手に抱きながらならなおさら。 魔王である貴方と、貴方を守るべき俺。恋に落ちるべきではないなんて誰が決めた? 俺はユーリが別れることをのぞまない限り、ユーリを愛し続けるのだ。もしかしたら、ユーリが俺との恋愛を望まなくても一方的な愛は途絶えないかもしれない。 大好きだよと微笑む貴方の顔は太陽にも似たまぶしさをもつ。 温かくて、日向のにおいがする魔王。 今までそんな魔王になどであったことがなかった。彼と過ごすのと気は何もかも新鮮で何もかもいとしくて。 そんなことを考えているとき突然ユーリが身じろぎをしたので起こしてしまったのかとあわてたがそうではなかった。目を閉じたまま無意識に動かす手が俺の背中にしっかりと巻きつくと満足したように息を吐くユーリ。 俺が隣にいることをユーリは求めてくれるのだ。 愛など不安定なものであって、絶対ではないはずなのにユーリと共にいると永遠さえ感じてしまう。 死んだように生きていた俺を救ってくれた貴方。 恋人として隣で生きることを許してくれた貴方。 何が起きても、この手だけは離したくない。俺はそう思いながらユーリの細い身体を深く抱きしめた。 抱きしめるだけでは、この思いを表すには足りなくて切なくなる。 それでも。 それでも貴方はここにいる。 そしてこの俺は隣にいる。 足りないことなどないのだ。伝えきれずに歯痒くなるけど、貴方を不安にさせてしまうかもしれない自分が不甲斐ないけど。 この気持ちは絶対なんです。 貴方をどこかに閉じ込めて俺以外誰とも触れ合ってほしくないほど。独占欲で貴方をつぶしてしまいそうになるぐらいに。 ほら今だって・・・夢の中でさえ俺しか見ていないでほしいのだ。 狂っていても、どうしようもないほどに貴方が好きですよ、ユーリ。 そんなとき、またユーリがもぞりと動く。 「コンラッド・・・」 俺に抱きついたままのユーリが、呟いた。おきたのかと思って顔を覗き込めば微笑んだまま眠っている。 夢を見ているらしい、俺の。 うれしくて、自分がどうなってしまうか分からないぐらいだった。 そう思いながら俺も目を閉じた。今宵も、貴方と夢の中でさえも会いたいから。 END あまーい。あま――――い(お●わさん風に) 書いてて赤面しそうだ。でも、お題は挑戦しがいがあっていい。 |