04

04:ただ、霧消に会いたくなって、気が付いたらここにいた。

 

 

眠りは浅く、夢見心地。

浮いたような感覚のなか俺はただ夜のろうかを進むだけ。

目のまわりが痛いのはどうしてだろう。自分でもよくわからない。

通い馴れた道はひどく暗くてむしょうに悲しくなる。

でも、あと数歩で彼の元へ。

優しい笑顔、優しい声、大好きな人。思い浮かべるだけで幸せ。

こんなに辛い夜はあんたに会うのが一番いい。すべてわすれてあんたを思えばいいんだから。

キスしてほしいなんて俺からいったらあんたはどんな顔をするのだろう。いつもそんなこと言えないから、あんたにみんな任せっきりだからね。

眠い瞼を擦りながらただ歩く道、肌寒い夜更けは霞んでる。

そしてたどり着くはあんたの部屋のまえ。

何の気なしに、俺はノックもせずにドアを開いた。

 

ただしそこは暗い部屋、がらんとした部屋の中。

いつもと違う、何かが足りない。

 

目を閉じてから、もう一度重い瞼をこじ開けてみればあふれるのは涙。

忘れていた感覚がよみがえる。背筋を貫くような、切なくて冷たい悲しい刺激。寝ぼけていた頭は、どちらが夢でどちらがか区別がつかなくなってしまったけども現実と称される場所に自分がいることを教えてくれた。

ただ会いたくなって向かったはずの部屋は、からっぽ。

待ち望むものはどこか遠くへと消えてしまった、俺の手の中から遠くへと消えてしまっている。

 

この部屋に足りないものはあんた。

俺がほしがるものもあんた。

待ち望むものはどこか遠くへと消えてしまった、俺の手の中から遠くへと消えてしまっていた。

・・・気がつくとすぐにあんたを求めているよ、コンラッド。

逢いたい。

逢いたい。

逢いたいよ・・・。

 

 

END

 

 

無意識の産物は恐ろしいです。たとえば、一度で二度効くコンラッド♪とか言っちゃった時とか・・・