07
: 困ったように少し微笑って、それでも君は、手を差し出してくれる。 言ったでしょう、俺は微笑んでいる貴方が好きだと。 だから、それでいいんです。貴方はただ、痛みを知らないまま笑っていて。 「ふぁ・・・っ・・・」 響く声は、ひどく甘い。俺はユーリを抱きしめたまま欲望に熱くなる体を動かすだけ。つなぎあった箇所からあふれるのは愛情と快感、満足感、安心感。 狂ってしまいそうなほど愛しい陛下は、俺にだけ見せる姿で乱れている。誰にも見せたくなくて、俺だけのものでいてほしいと切に願う。 だけど、ユーリはこの国の宝とも言える魔王陛下。そして、民のために自ら進んで行動する心優しい魔王陛下。 こんなにも愛しているのに、貴方は俺だけのものにはなってくれないのですね。 「あっ・・・!ん・・・ぅあ」 耳をくすぐる心地よい嬌声。ぬれた唇にキスをして、俺は体を深々とつなぐだけ。時折名前を呼ぶだけでユーリは幸せそうに俺に抱きついてくれる。 子供じみたほどの独占欲。自分でも恥ずかしくて、信じられないほど俺の中ではそれが肥大してゆく。貴方は、俺のことを愛してくれていると分かっているのに。不安は尽きないけど、それは多分恋人というものを持つなら誰でも味わう感覚なのだと思う。 「ユーリ・・・」 ユーリは頬を赤く染めながらも、俺を感じてくれている。 それでいいじゃないか。 分かっていても、貴方は誰にでも笑顔を振りまくから。それが貴方という人なのだとは分かっているけども。 「っあ!・・・ん・・・っああぁ!」 「コンラッド・・・!少しは手加減してよ・・・立てない・・・」 ユーリはシャワーを浴びに行こうとしたがそのまま足に力が入らなくて危うくベッドの下に落ちそうになる。俺が慌てて捕まえれば、噛み付くように文句を言われた。 俺がその返事に苦笑をしながら謝る。 どうしても今夜は、貴方のことを離したくなかったのですよ、と。だって不安で仕方がなかったんだ。俺は貴方にふさわしいのか、そして貴方は俺を絶対の位置においてくれるのかと。 考えれば考えるほど苦しくなって、そこから逃げたくて確かめるのは今ユーリと合意の上でのつながりが持てるという幸せだから。 ああ、なんて自己中心的。 「・・・は、恥ずかしいこと言うなって・・・」 顔を朱に染めたユーリは俺の返事に慌てて言う。狂おしく愛らしい姿。 「本当ですよ、ユーリ」 貴方を抱いている実感がほしかった、と告げるとユーリはさらに恥ずかしそうな顔をした。それでも、俺に太陽と見まごうほどの笑顔を向けてこういうんだ。 「・・・でも、うれしい・・・かも」 貴方は、俺がこんなしょうもない人であっても、笑顔を俺にくれるんです。不安で壊れそうになったときでも、貴方は幸せというなの救いの手をくれる。だから俺は何度でも立ち上がることができるんですよ、ユーリ。 だから、俺はせめてものお礼にどんなときも貴方に手を差し伸べたいのです。 幸せそうに、でも顔を赤くしたユーリの体はすごく熱くて。止まらないのは貴方を求めるこの心。 ユーリの体を強く抱きしめれば困ったような顔をしたけども、すぐにあきらめたように俺に体を預けてくれた。 嫌いなはずの長い夜も、貴方と過ごすならば永遠を望むほどに。 ただし、何もかも続かないのがこの世界。 END お題はエロがないと、気づいてしまったのだ・・・。必死にいれてみたりする自分がひどく滑稽に見える・・・orz |