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: 繋いだ手、絡めた指を解く事が出来なくて。 「ぁ・・・」 はだけた胸にキスをするとユーリは小さく身をよじる。明かりはなくて、月明かりだけに照らされたユーリの姿は美しくて愛らしい。 愛しているなんて言葉で表しきれないぐらいいとしい貴方。 ボタンをはずすたびに恥ずかしそうな顔をする。初々しさがたまらなくて、俺はもう一度その唇にキスをする。 ちゅっと音を立てて離せば、ユーリは俺に抱きついたまま恥ずかしそうに顔を伏せる。 こんな時間が一番幸せだった。 明日のことなど、未来のことなどお構いなしに大事な人をこの手にしている時間が。赤い顔をしたユーリは俺の首に絡んでいた細い腕をそっと解くと俺のほほに触れる。なんですか?とたずねればそうしたかっただけだよと、のどの奥で笑った。 そんなユーリが可愛くて、不意打ちでまだ脱がしていないユーリ自身をそっと撫でてやる。突然にことに驚いたのかユーリはびくりと体を震わせてまだ絡み付けていた腕にぎゅっと力をこめる。 ゆるゆると撫でてやると、もどかしいのかユーリは甘い声をねだるように出しながらやめて、としきりに呟いた。 「やめて、じゃないでしょう?どうしてほしいんですか?」 意地悪くたずねてみれば、案の定ぬれた黒い瞳ににらまれる。だけど、その顔でさえ愛おしくて俺の欲望を掻き立てていることに貴方は気づいていない。 ユーリは恥ずかしそうに口をつぐんだまま何も言わない。だから俺も、その手を止めることなく布越しのゆるい愛撫を与え続ける。 「っ・・・はぁ・・・」 ユーリは顔を朱に染めて潜めた息を小さく吐き出す。艶やかなその響に俺のほうがめいってしまいそうなほど。 「ユーリ・・・?」 耳元に熱いと息を吹きかけ、強い刺激を与えてやると、ユーリはその細い体を震わせて嬌声を上げる。やっと、ユーリは恥辱に歪んだ唇を開き蚊の鳴くような小さな声で呟いた。 「・・・ちゃんと・・・触っ・・て・・・」 震えた声でつむがれた台詞に俺ははいとだけ呟くとユーリの衣服をすべて脱がしてしまう。白い体は何度見ても見飽きないほどにいとしい。 軽く硬さを帯びたユーリ自身に指を絡めればユーリは背中をのけぞらせて甘い声を惜しみなくこぼした。愛していると何度も呟くとユーリも嬌声にまぎれた愛の言葉を呟いてくれる。耳に心地よい、ユーリの声。 愛しているなんていう言葉じゃ伝えきれないほどに。 静かな部屋にくちくちという湿った音だけが響く。ユーリの熱い息遣いも、悩ましげにさげられた眉も、所在無くうろつく足もすべて俺を煽り立ててくる。 急速に求める気持ちが強くなりすぎて自分の指を舐めてたくさんの唾液をからませてからユーリの閉ざされた蕾に入れる。何度も体を重ねたから、最初よりもすんなり受け付けてくれる。自分の侵入を許してくれる、なんだかそれだけですごくうれしくなった。 「ユーリ・・・」 熱い声で名前を呼ぶとユーリは熱に浮かれた顔をしながらも必死に笑ってくれる。もちろん、俺が中で指を動かしているから息は荒いが。 時間をかけて解きほぐすと、ユーリは甘い声を漏らしながらも俺を求めてくれる。 ユーリを強く抱きしめてから、俺自身をユーリの中にゆっくりとうずめてゆく。 「っあ・・・はぁ・・・っ!!」 苦しげな息をするユーリに、俺は大丈夫ですか?と小さく呟くと、崩れそうな笑みで大丈夫だから、と。 そんな姿がいとしくて可愛くて、たまらない。 ああ、こんなにも愛しているんだと実感する瞬間はひどく気分がいい。 シーツを強く握っているユーリの手をそっとつかんでから自分の手で握り締めた。指を絡めるとお互いの体温がまじまじと伝わってくるような気がして。 伝えたい言葉が見つからないから、このまま溶け合ってしまえばいいのに。それほどまでにこの手を絡めることによって与えられる安心感は多い。 不安定な関係であることは間違いない。 魔王と、その従者。 それでも、今だけは・・・。 繋いだ手、絡めた指を解く事が出来なくて。 END なんか、らぶらぶえっちってあんまかかないなぁ(ぇ) めまぐるしく、終わりさえない世界で恋愛気分。 |